膝の痛みが起こるのも、腰痛と同様に人類が二足歩行を始めたことに起因するのであり、人類の宿命といってもよいでしょう。
膝は人間の体の中で一番体重のかかる関節であり、脚を使う運動を微妙なバランスでコントロールする重要な部位です。人間が複雑な二足運動をいとも簡単に行えるのは、まさに膝関節の複雑な機能構造があればこそなのです。
膝関節はこのように、デリケートな部位でありながら体を支えるという重労働をしているわけで、常に膝痛の危険と隣り合わせにいるのです。
しかし、痛みが起きても慢性的になるまでは対症療法でかたずけられるのが残念です。

初期の膝関節炎:

膝の酷使、疲労、不自然な姿勢、あるいはストレス等が原因で膝に痛みを覚えることがあります。
また、腰の歪みや、腰の痛みをかばうことで体のバランスを損ない膝に痛みという形で影響が出ることもあります。療術師に相談し、体全体のバランス、生活習慣の相談をして下さい。
慢性化とならないように注意することが必要です。

中期の膝関節炎:

中高年といっても既に老化は始まっています。運動不足で筋肉が弱っていたりすると、気づかぬうちに膝の捻挫、靭帯の損傷を起こしていることすらあります。
また、永年の膝の酷使が、半月板や軟骨に障害を起こしている場合もあります。「階段の上り下り、しゃがんで立ち上がる時や、左右にステップを踏もうとして、膝に痛みやひっかかりを感じる」と訴える状態は、慢性化した膝関節炎ということになります。
「膝に水がたまる」とか、「正座ができない」という場合は、かなり進行しています。
若い方でもこのようにな状況になっていることも最近では珍しくありません。スポーツでかなり無理をした人、運動嫌いの人にこの傾向は見られます。
このような時こそ療術の出番です。痛みを最小限に抑えながら慢性化をくいとめましょう。

末期の膝関節炎:

慢性的な膝痛は、末期になると関節の変形を伴い、「変形性膝関節症」と診断されるケースも多くなります。老化と共に、半月板は磨耗して、関節癒着が始まり、歩行障害に進行します。正座はもちろん、膝の曲げ伸ばしもままならない状態です。
末梢神経とはいっても、神経痛のように、じっとしていても痛むということはありませんが、膝の関節を動かす度に痛むようになり、痛みも徐々に強くなってきます。
この段階では外科的手術が必要な場合もあります。
末期の膝関節炎に対する療術治療は、まず痛みをとり、血行等の循環を良くすることで、進行を止めます。同時に食事療法、運動療法を行い、筋力アップします。手術をした場合は、リハビリとして療術の施療を行います。

膝痛予防:

本来、膝に何も痛みを持っていないうちに予防をしていただきたいのですが、多くの人は痛みがともなわないと行動を取れないものです。痛みが来たらチャンスと思い、痛みに感謝し、次のような慢性化予防に取り組みましょう。
− 体重を落とす。
− 足への衝撃が伝わりにくい靴を選ぶ。
− 足の筋力を強化する。(あるいは筋力の落ちるのを食い止める)
− ストレッチ体操を行う。
− 腰痛などがあったら早期に治す。

慢性化した膝痛の療法:

第一は、冷やさないようにし、安静度を高めることです
。次に、正しい生活習慣により、自己の治癒エネルギーを高めます。その為、充分な睡眠、休養、ビタミンやカルシウムの摂取、質の良い水を飲むなどして体全体のエネルギーが高まるよう心がけます。同時に、血液やリンパ液の循環を良くし、細胞を活性化させます。
さらに、膝の関節には関節包があってその中は軟骨が摩擦しないように、滑液で満たされます。この滑液は関節組織や関節の運動で生じた残液物を吸収し、逆に組織に栄養分を供給しています。慢性膝痛の人は、滑液が新鮮な状態でなく、滑液を含む組織液を綺麗にすることで痛みを緩和することにかなりの効果があります。